「自己主張ができない」「自己主張をしようとすると、どうしても押し付けのようになってしまう」
とお悩みではありませんか?
「アサーティブコミュニケーション」は、ただ意見を主張するだけでなく、相手に配慮しつつ自分の意見を伝える手法です。
自己主張が苦手な人、または過剰に攻撃的になってしまう人は、アサーティブコミュニケーションを使うと、コミュニケーションが円滑になり、さらにはお互いの信頼関係を深めることもできます。
この記事では、アサーティブコミュニケーションの概念とその重要性、具体的な実践方法について解説します。
最後まで読めば、アサーティブコミュニケーションを実際に身につける方法が分かり、あなたの人間関係のストレスもぐんと減りますよ。
アサーティブコミュニケーションとは?
アサーティブコミュニケーションとは、自分の感情や意見を率直かつ正直に伝える一方で、相手の意見や感情にも配慮するコミュニケーション方法です。
アサーティブな人は、攻撃的でも受け身でもなく、バランスの取れた主張を行いながら、自分も相手も尊重します。
例1. あなたが周囲から頼み事をされがちで、精神的な負担を感じているとしましょう。 今日も友だちから頼まれ事をしてしまいました。 この場合、アサーティブコミュニケーションを使うとこうなります。 「あなたが困っているのはわかるんだけど、私もこの後用事があって引き受けられないの」 このように、自分の用事を優先しなければならないことを伝えます。 また、今後も頼られそうな場合は「自分の時間を大切にしたいから」とはっきり言ってもいいでしょう。 これならば、相手を傷つけずに自分の限界を伝えることができます。 |
例2. 共稼ぎなのにいつも家事は自分だけ負担して不満が溜まっている場合、やってしまいがちなのは「どうして私だけがやらなきゃならないの!」と怒りをぶつけてしまうことです。 でも、 「あなたも疲れてると思うけど、私も今日会社で大変だったんだ〜。ちょっとだけ手伝ってもらえると嬉しいな」 と言えば、相手も「ああ、そうだったんだ」と理解してくれ、ソファから立ち上がって手伝ってくれる可能性が高くなります。 |
このように、アサーティブコミュニケーションではあなたの立場や状況も分かっていますよ、でも私もこういう状況なんです、と伝えます。
あるいは、あなたは今こう考えてるんですね、でも私の考えはこうです、というパターンもあるでしょう。
これができるようになると、人間関係がスムーズになり、お互いの理解も深め合うことができますよ。
コミュニケーションのスタイルは大きく3つ
世の中のコミュニケーションは、実は大きく3つのパターンのいずれかにあてはまります。
あなたはどのパターンを持っているでしょうか?
パッシブ(受動的)コミュニケーション
自分の意見を伝えず、相手に合わせてしまうパターンです。
自己犠牲を伴うため、結果的に不満がたまりやすくなります。
アグレッシブ(攻撃的)コミュニケーション
自分の意見を強く押し通し、相手を無視してしまうパターンです。
相手を傷つけたり、対立を引き起こしやすくなります。
アサーティブコミュニケーション
自分の意見を伝えつつ、相手の意見にも耳を傾け、対等な関係を築くパターンです。
パッシブやアグレッシブのコミュニケーションだと、相手か自分のどちらかが傷ついたりストレスを感じたりして、しこりが残りやすくなってしまいます。
しかし、アサーティブなコミュニケーションなら、たとえ意見やその時の感情が違ったとしてもお互いを理解し尊重し合うことができるのです。
アサーティブコミュニケーションの重要性
アサーティブなコミュニケーションが重要な理由は、以下の3つです。
- 健全な人間関係の構築
- 自己肯定感の向上
- 効果的な問題解決
一つずつ詳しく解説します。
1. 健全な人間関係の構築
アサーティブコミュニケーションを実践すると、相手との信頼関係が深まり、より健全で前向きな人間関係を築くことができます。
自分の意見をはっきりと伝えながらも、相手の意見を尊重する姿勢は、双方にとってストレスが少なく、対話を円滑に進める助けとなります。
2. 自己肯定感の向上
自分の意見や感情を率直に表現することで、自己肯定感が高まります。
他の記事でも度々お伝えしているように、「自分を大事にする」からです。
自分のニーズや価値観を大切にしながらコミュニケーションを取ることで、他人の承認に頼ることなく、自分自身を認める力が強化されます。
3. 効果的な問題解決
アサーティブな対話は、対立や誤解を減らし、問題解決をスムーズに進めるのに効果的です。
特に上司と部下、顧客との交渉などのビジネスの場では、アサーティブなコミュニケーションが必要不可欠でしょう。
相手に過剰な防御心を抱かせず、冷静に議論を進めることができるからです。
特に、交渉などでは、より建設的な解決策を一緒に見つけることができるため、双方が納得した結果になりやすくなります。
アサーティブコミュニケーションの具体的な実践方法
アサーティブなコミュニケーションを実践するには、いくつかの重要なポイントがあります。
- 「Iメッセージ」を使う
- 相手の意見を尊重する
- 感情を適切にコントロールする
- 非言語コミュニケーションに注意を払う
一つずつ解説します。
1. 「Iメッセージ」を使う
アサーティブコミュニケーションの中でよく使われるのが「Iメッセージ」です。
Iメッセージとは、自分の感情や意見を「私は〜と感じる」という形で表現する方法です。
例えば、「あなたはいつも約束を破る」という言い方だと相手を責めてしまいますが、「私はあなたが約束を守らないとガッカリする」と伝えると、より穏やかな対話が可能になります。
Iメッセージに関しては、こちらの記事も参考にしてみてください。
▶【コミュニケーション法】自分も相手も大事にするIメッセージとは?
2. 相手の意見を尊重する
アサーティブコミュニケーションでは、自分の意見を主張するだけでなく、相手の意見にも耳を傾け、尊重することが大事です。
たとえ意見が異なっても、その違いを受け入れる姿勢が重要なのです。
対話の中で、「そういう見方もあるんだね」と相手の意見を認めることが、健全なコミュニケーションの基盤となります。
3. 感情を適切にコントロールする
アサーティブなコミュニケーションは感情を抑え込むのではなく、適切に表現することが大切です。
例えば、感情が高ぶっているときには、冷静になるまで一度対話を保留し、後で再開することも有効です。
私も息子と喧嘩した時、「お互いにちょっと気持ちが高ぶってるから、一旦休憩して後でまた話そうか」というふうにしています。
また、ネガティブになりがちな怒りや悲しみの感情も、適切なタイミングで率直に伝えることで、誤解や不満が溜まるのを防ぎます。
誤解を受けたままや不満を溜めたままにすると、体にも不調として影響が出てくるので、要注意。
そうなる前に、自分の感情はなるべく穏やかに、でもしっかりと伝えてその場で解消するよう心がけましょう。
▶知らないと怖いストレスと免疫の関係とは?免疫力を上げるヒント
4. 非言語コミュニケーションにも注目する
アサーティブコミュニケーションでは、言葉だけでなく、表情や姿勢、視線などの非言語の要素にも注目しましょう。
目は口ほどに物を言うというように、人間は感情が仕草や表情などににじみ出てしまうものだからです。
例えば、相手の目をしっかりと見て話すと、相手に対する尊重や誠実さを示すことができます。
また、リラックスした姿勢で話せば、相手も自然にリラックスしてくれ、緊張状態を緩和することができるでしょう。
ただし、言葉と非言語(表情や姿勢など)が一致していないと、相手は違和感を感じ、かえって不信感を抱かせてしまうので気をつけましょう。
5. 建設的なフィードバックを行う
アサーティブなコミュニケーションでは、相手に対して建設的なフィードバックをすることも重要です。
ただ単に批判するのではなく、相手が改善できるポイントを具体的に伝え、前向きな提案をすることで、相手も受け入れやすくなります。
例えば、「この部分をこう改善すればもっと良くなると思うよ」といった具合です。
具体的で前向きなフィードバックをすると、「自分のことを真剣に考えてくれているんだな」と相手にも伝わり、より信頼感が増します。
アサーティブコミュニケーションが役立つ場面
アサーティブコミュニケーションは、あらゆる場面で役立ちます。
先程の例に出したように、職場では上司や同僚との意見交換の場で、家庭ではパートナーや子どもとのコミュニケーションで、さらには友人関係や学校など、身につけるとどこでも使えて便利です。
特に、意見が対立しやすい場面や、感情的になりがちな状況でアサーティブな対応ができれば、無駄な争いや誤解といったトラブルを防ぎ、より円滑な人間関係を築くことができます。
また、アサーティブな姿勢は、他の人に対するお手本にもなり、周囲の人々にも良い影響を与えるでしょう。
まとめ
アサーティブコミュニケーションは、自己表現と相手への配慮をバランスよく取り入れたコミュニケーション方法です。
アサーティブコミュニケーションを実践することで、健全で建設的な人間関係を築き、自己肯定感を高めることができます。
具体的な実践方法としては、
- 「Iメッセージ」を使う
- 相手の意見を尊重する
- 感情をコントロールする
- 非言語コミュニケーションにも注目する
などがあります。
どんな場面でも役立つアサーティブコミュニケーションを日常生活に取り入れることで、より良い人間関係と充実したコミュニケーションを実現しましょう!