物事がうまくいかないとき、よく「アクセルとブレーキを同時に踏む」と言います。
これは心理的なことを運転に例えて表現したもので、進もうとしているのに潜在意識(自覚していない心の底)で進みたくない心理が働いているという意味です。
しかし、実際にはどんなことが起こっているのか、知りたくありませんか?
この記事では、アクセルとブレーキを同時に踏むメカニズムを、詳しく解説します。
最後まで読むと、物事がうまくいかない本当の理由が分かりますよ。
アクセルとブレーキを同時に踏む心理的メカニズム
「アクセルとブレーキを同時に踏む」という比喩は、心理学でよく使われる表現です。
具体的には、目標に向かって進もうとする一方で、進めない心もある状態を説明する際に用います。
例えば、新しいチャレンジに挑戦したいという気持ちが強くても、失敗への恐怖や過去のトラウマが足枷となり、行動にブレーキをかけてしまうのです。
例:
・新しいキャリアに挑戦したいが、失敗を恐れて行動できない
・せっかく好きな人と両思いになったのに、傷つくのが怖くて自分から離れてしまう
・ダイエットを始めたいのに、食べることがやめられない(むしろ食欲が増大する)
このような内面的な葛藤の背景には、潜在意識が大きく関わっています。
潜在意識とは?その力と影響
潜在意識とは、私たちが普段意識しない、無意識のうちに働いている部分の心のことです。
しかも、潜在意識は、人の全意識の9割以上を占めているというから驚きですよね。
よく、「脳は全自動」とか、「脳は省エネ」と言われます。
これは、脳は頻繁にする行動において、パターン化して無意識にやるレベルにしてしまうという意味です。
例えばご飯を食べるときは、
- 箸でご飯をつまむ
- 箸を持ち上げる
- 食べ物を口に運ぶ
- 口を動かし飲み込む
という動作を繰り返しますよね。
しかし、いつもしていることなので、「さあ、箸でご飯をつまむぞ」「次は箸を持ち上げて…」なんて考えたり思ったりしません。
私たちが生きるパターンも、これ同じように処理されていると考えられています。
3大心理学者の一人であるジークムント・フロイトは、人の心は「意識」「前意識」「無意識」の3層から成り立つと提唱し、潜在意識は無意識と関連が深いとされています。
意識 | 私たちが自覚できる心の部分 |
前意識 | 普段は自覚していないけれど、思い出そうとすれば思い出せる記憶や感情 |
無意識 | 私たちが自覚できない心の部分 |
潜在意識は、過去の経験や信念、感情を蓄積し、日常の行動や判断に大きな影響を与えます。
例えば、子どもの頃に「失敗は悪いもの」と教えられた人は、潜在意識にその信念が強く刻まれ、大人になっても挑戦することに対して無意識にブレーキをかけることがあります。
これが、心理的なアクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態です。
アクセルを踏みながらブレーキも踏む3つの理由
本当はアクセル全開でどんどん成功していきたいのに、どうして私たちはアクセルとブレーキを同時に踏んでしまうのでしょうか?
その背景には、主に潜在意識の3つの作用が考えられます。
自己防衛本能
人間の脳は危険を察知すると、自動的にブレーキをかけるように設計されています。
例えば、以前特定の食べ物であたった経験がある人は、その食べ物が好きでなくなる場合がほとんどです。
ジェットコースターに乗ってひどく酔った経験がある人は、ジェットコースターが嫌いになったりします。
同じように、新しいことに挑戦することが成功の鍵だと頭では分かっていても、過去に似たような経験で失敗したり、心の傷を負ったりした場合、潜在意識はその経験を思い出し、自己防衛本能としてブレーキをかけるのです。
不安や恐怖
不安や恐怖は、潜在意識に深く根付いた感情です。
例えば、会社をやめて起業した人が、「月収7桁!」と目標に向かう意識がありながらも、以下のような不安や恐怖から、なかなか行動できないということがあります。
- 失敗するのが怖い
- お金をたくさん持つことへの不安がある
- 社会的責任をとるのが怖い
このように、潜在的な恐怖や不安が、心理的なアクセルとブレーキを同時に踏ませてしまうのです。
内なる信念や自己イメージ(自己肯定感が低い)
自己肯定感の低さといったネガティブな自己イメージや信念も、潜在意識に刻まれている場合、これが行動にブレーキをかけます。
ネガティブな自己イメージや信念とは、例えば以下のようなものです
- 自分にできるはずがない
- 自分は成功に値しない
- 出る杭は打たれるものだ
- 自分には人に貢献できるほどの力がない
表面上では「成功したい」と強く思っていても、潜在意識の中で「成功は怖い」と感じていれば、アクセルを踏んでいるのにブレーキも同時に踏んでいる状態になるのは当然といえるでしょう。
アクセルとブレーキの同時踏みを解除する方法
潜在意識が強く作用することで、私たちは前進したいという意識と、後退したいという無意識との間で勝負のつかない綱引き状態になります。
しかし、この状態を解消する方法もあります。
潜在意識を書き換える
潜在意識に深く刻まれた信念や思い込みは、簡単に変えられるものではありません。
しかし、意識的に新しい習慣や考え方を取り入れることで、徐々に書き換えることは可能です。
ポジティブな自己暗示や、日々のアファメーション、自己対話などを行うことで、潜在意識に働きかけることができます。
※アファメーション=肯定的な言葉を繰り返すこと
※自己対話=心の中の自分と対話すること
メンタルブロックを認識する
メンタルブロックを認識するには、自分がどのような場面でブレーキをかけているのかを意識的に把握することが重要です。
例えば、「新しい挑戦が怖い」と感じている場合、その恐れの原因はなんなのかを探ることで、潜在意識に眠るメンタルブロックを解除することができます。
ただし、メンタルブロックの原因は無意識に持っている価値観や信念・思い込みなので、なかなか自分一人では気づくことができません。
その場合は、人に話すことで気づきを得られることがあります。
カウンセリングやコーチングを活用する
潜在意識へのアプローチは、専門家の力を借りることでより効果的に行えます。
心理カウンセリングやコーチングを通じて、自分の潜在的な信念や行動パターンを整理し、適切なフィードバックを受けることで、アクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態を改善することができます。
潜在意識の力を理解し、前進しよう!
「アクセルとブレーキを同時に踏む」状態は、行動に対する矛盾や葛藤を示すものですが、その背後には私たちの潜在意識が深く関係しています。
潜在意識にアクセスし、潜在意識の意図を理解することで「この思い込みや信念はもう不要」とブロックを解除し、スムーズに目標に向かって進むことができるのです。
あなたが自分らしく生き生きと生きるために、潜在意識の力を理解し活用していきましょう!