私達の身近にあるスパイスの中には、免疫力を上げる優れた効果を持つものがたくさんあります。
スパイスは植物を粉にしたものや種子そのものなので、体に害がなく、自然に免疫力をあげるのにもってこいの食品なのです。
その中でも料理でよく使うようなスパイスは、以下のものです。
ターメリック | 抗酸化作用、抗炎症作用 |
クミン | 抗酸化作用、整腸・整胃、血流促進 |
コリアンダー | 殺菌作用や消化促進、 デトックス効果 |
唐辛子 | 抗菌作用、血流促進 |
カルダモン | 抗菌、抗炎症、整腸・整胃、血流促進 |
シナモン | 抗酸化作用、抗炎症作用、血流改善 |
クローブ | 抗酸化作用、抗菌作用 |
「このスパイスならキッチンにある!」というものも多いのではないでしょうか?
今回は、その効果と成分について、詳しく解説していきます。これらのスパイスを使ったお手軽レシピも紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
ターメリック(ウコン)
主な成分 | クルクミン、ターメロノール類 |
効果 | 抗酸化作用、抗炎症作用 |
別名ウコンとも呼ばれ、二日酔い予防として良く知られていますが、ターメリックは強力な抗酸化作用と抗炎症作用を持っています。
ターメリックに含まれるクルクミンが免疫細胞の活動を促進し、体内の炎症を抑えることで免疫力を高めるからです。
また、鎮痛剤成分のイブプロフェンと同じくらいの鎮痛作用があることも研究により分かっています。
さらに、ターメリック特有のターメロノール類は、特に強い抗炎症作用を持っており、歯周病を始めとする慢性炎症を改善するほか、血糖値の改善も認められています。
慢性的な炎症は、循環器系や糖尿病、リウマチなど多くの内臓疾患にも影響があるため、ターメリックが秘める可能性に今後も注目が集まるでしょう。
注意点 ターメリックは取りすぎると胃腸の調子が悪くなります。 1日に摂っていい量は1.5~3g程度です。 また、肝臓が悪い方や妊娠中の方は、医師と相談して摂るようにしてください。 |
参考:2021年ハウス食品グループの研究、神奈川歯科大学大学院歯学研究科口腔科学講座歯周病学分野 秋月達也,三辺正人「歯周組織の炎症に対するクルクミンの効果」
ターメリックのおすすめレシピ
<ターメリックライス>
炊き上がったご飯にターメリックパウダーを加えるだけで、簡単にターメリックライスが作れます。
カレーやステーキ丼、ハヤシライスのご飯に、また、ケイジャンチキンやタンドリーチキンとワンプレートにしても美味しいですよ。
クミン
主な成分 | クルクミン、クミンアルデヒド |
効果 | 抗酸化作用、抗炎症作用、整腸・整胃、血流促進 |
クミンはカレー独特のあの香りの元として有名ですが、抗酸化作用が高く、昔から漢方としても重用されてきました。
消化を促進する効果があり、腸内環境も改善してくれるので、免疫力アップの強力な助っ人でもあります。
2019年の研究では、抗がん作用、心血管保護作用、ぶどう膜炎の抑制作用のほか抗うつ作用、抗ストレス作用なども発見されている(ウコン熱水エキスの抗炎症作用に関する研究)ので、自律神経の改善にも期待が持てます。
心身を健康に保ちたい方は、クミンを料理に使うのがおすすめです。
クミンのおすすめレシピ
<クミン風味のロースト野菜>
野菜をクミンとオリーブオイルでローストするだけで、風味豊かで健康的な一品が完成します。
作り方
1.厚手の鍋にオリーブオイルを大さじ2入れ、クミンを炒めて香りを出します。
2.一口大に切った野菜を並べ、弱火で20分程度蒸し焼きにします。
3.焦げつかないように、途中で野菜をひっくり返します。
4.最後に塩を振ったらできあがり。
野菜はニンジン、ミニトマト、ズッキーニ、ジャガイモ、ブロッコリー、アスパラガス、ナス、かぼちゃなど、何でもOK。お好みの野菜を使ってください。
塩は岩塩などこだわると一層美味しいですよ!
コリアンダー
主な成分 | βカロテン、リナロール、ビタミンC,カルシウム、カリウム |
効果 | 抗酸化作用、抗炎症作用、解毒作用、抗菌・抗真菌 |
コリアンダーには強い抗酸化作用と抗炎症作用、抗菌・抗真菌があり、免疫細胞の機能をサポートするため、風邪や胃腸炎の予防に最適です。
体の毒素を排出するデトックス効果もあり、腸内環境を改善して免疫系を強化する働きもあります。
また、コリアンダーの香り成分であるリナロールは、鎮静・抗不安・神経強壮作用があり、落ち込んだ時は気分を和らげ、やる気や集中力を起こしてくれます。
おすすめレシピ
<ケバブ>
アジア料理に欠かせないコリアンダーの香りが高い、簡単ケバブの作り方を紹介します。
作り方
1. 鶏肉(豚や牛でも可)を一口大に切り、以下の調味料をよくすり込みます。
- コリアンダーパウダー小さじ2
- クミンパウダー小さじ2
- チリパウダー小さじ1
- 塩小さじ⅓
(上記の分量は鶏肉1枚分です。肉の量に合わせて調節してください)
2. 後はサラダ油やオリーブオイルをひいたフライパンで焼くだけ!
肉に火が通るまで、しっかりと焼いてください。
千切りキャベツやレタスなどの野菜と一緒にパンに挟んでも、丼物にしても美味しいですよ。
唐辛子(チリペッパー・レッドペッパー)
主な成分 | カプサイシン、ビタミンA、ビタミンC |
効果 | 新陳代謝促進、抗酸化作用 |
唐辛子に含まれるカプサイシンは、新陳代謝と血流を活発にし、体を温める効果があります。
唐辛子がたくさん入った料理を食べると汗が出てきますよね。
新陳代謝を促すだけでなく、免疫細胞の働きを促進し、感染症に対する抵抗力を高める効果もあります。
また、カプサイシンには抗酸化作用のあるビタミンAやビタミンCが豊富に含まれているので、体内の活性化酸素も抑制してくれますよ。
おすすめレシピ
<スパイシーチリコンカン>
唐辛子を使ったチリコンカンは、スパイシーな刺激で体を温め、免疫力をサポートします。
作り方
1.ニンジン、玉ねぎ、にんにくをみじん切りにする
2.フライパンに油を引き、にんにくを炒める
3.香りが出てきたらひき肉を加えて炒め、火が通ったら野菜も入れる
4.キドニービーンズやひよこ豆、煮大豆などお好みの豆とトマト缶を入れる
5.ひと煮立ちしたら弱火にし、チリパウダー、塩コショウ、コンソメを入れて20〜25分程度煮込む
缶詰の豆を使う場合はよく水を切ってくださいね。ミックスビーンズ缶が便利ですよ。
カルダモン
主な成分 | シネオール、テルピネオールなど |
効果 | 抗菌、抗炎症、整腸・整胃、血流促進 |
カルダモンに含まれるシネオールは、抗菌作用と抗炎症作用があり、免疫を活性化しウィルスから体を守る働きがあります。
血流も促進するので、特に風邪やインフルエンザが流行る冬には、飲み物と一緒に摂ると良いでしょう。
また、カルダモンのスーッとする香り成分「テルピネオール」は、胆汁の分泌を促進して消化を助けるので、胃腸を整える働きもあります。
おすすめレシピ
<カルダモンティー、カルダモンコーヒー>
カルダモンパウダーをいつもの紅茶やコーヒーに少量入れるだけ。
手軽だし、免疫力アップやリラックス効果が期待できるのでおすすめです。
シナモン
主な成分 | シンナムアルデヒド、ポリフェノール |
効果 | 抗酸化作用、抗炎症作用、新陳代謝促進、血管強化 |
シナモンに含まれるポリフェノールには強い抗酸化作用があるため、感染症予防に効果的です。
また、血管を強化し体内のダメージを保護する働きもあることから、炎症や慢性疾患の改善も期待できます。
おすすめレシピ
<シナモントースト>
朝食の食パンをシナモントーストにすれば、手軽に免疫力を高めることができます。
シナモントーストは、トーストした食パンに蜂蜜を塗り、上からシナモンパウダーをかけるだけで完成です。
クローブ
主な成分 | オイゲノール |
効果 | 抗酸化作用、抗菌作用 |
クローブに含まれるオイゲノールは、強力な抗酸化作用と抗菌作用があります。
また、オイゲノールは免疫細胞を活性化し、感染症に対する体の防御機能を高めます。
クローブはヨーロッパでは古くから、疫病よけのお守りとして玄関などにつるして使われてきました。
おすすめレシピ
<クラフトコーラ>
クラフトコーラの作り方は、意外と簡単です。
材料をすべて煮て元となるシロップを作り、それを炭酸で割って飲みます。
シロップの材料(500ml、コーラ約10杯分)
- *水:400ml
- *黒糖:400ml(ほかの砂糖でも可)
- *クローブ:40粒(約4g)
- *カルダモン:20粒(約3g)
- レモン:2個
- シナモンパウダー:小さじ1
- バニラエッセンス:5~6滴
※レモンは必ずノンワックスのものを使ってください。国産レモンはワックスを使っていない物が多いのでおすすめです。
作り方
1.レモンは1つは輪切りにし、もう1つは半分に切って果汁を絞ります。
2.鍋にレモン果汁以外の*の材料を入れて、10分煮込みます。
3.2にレモン果汁、シナモンパウダー、バニラエッセンスを加えて冷蔵庫で1日寝かせます。
4,清潔な保存容器を用意して、中身をザルなどでこしながら入れます。
冷蔵庫で2週間保存できます。
冬は炭酸ではなく、赤ワインで割っても美味しいですよ。
まとめ
スパイスは免疫力を高めてくれる物が多く、しかも体に優しい自然食品です。
いつもの料理に入れてみたり、飲み物に加えたりして、色々と工夫してみてくださいね。
日常の料理にスパイスを取り入れることで、免疫力を効果的に向上させましょう!