リウマチというと、高齢者の病気というイメージがある方も多いと思いますが、実は20代30代からかかる人も多く、子どもでも発症する病気です。
発症年齢は20代前後に圧倒的に多いのですが、小児から80歳まであらゆる年齢層に発症します。男女比は、5~6 : 1で男性に多くみられます。(引用:日本リウマチ財団)
リウマチにかかると関節が動きづらくなったり痛みが生じたりと、色々な症状が出ますが、長時間のデスクワークや重いものを持つことができないなど、日常生活にも支障が出ることはあまり知られていません。
この記事では、リウマチとはどんな病気なのかを詳しく解説します。後半ではリウマチ治療中の私の実体験もお伝えしますので、よりリアルに理解していただけると思います。
家族や職場にリウマチにかかった人がいる人や、自身がリウマチではないかと不安になっている人は、ぜひ読んでみてください。
リウマチはこんな病気
リウマチとは膠原病の一種で、免疫システムが誤って自分の体の組織を攻撃する自己免疫疾患です。
主に関節に炎症を引き起こし、痛み、腫れ、関節のこわばりを引き起こします。
具体的には、関節に炎症が続くと関節周りにある「滑膜(かつまく)」中の血液や細胞、関節液が増えて関節が腫れ上がります。
そのままにしておくと、軟骨や靱帯(じんたい)を破壊し、やがて軟骨以外の骨まで破壊してしまうため、なるべく早く炎症を抑える治療が必要です。
進行が深まる前に炎症を治めることができれば、関節の腫れも引いていきます。
また、リウマチを引き起こす免疫機能は全身にあるため、皮膚、目、肺、心臓、血管など、体の他の部分にも様々な症状が表れることも少なくありません。
症状は慢性的で、寛解(症状が軽減する時期)する可能性はありますが、治療しないで放置すると関節の破壊や変形を引き起こす可能性がある怖い病気です。
リウマチの原因
リウマチは昔から多くの方を悩ませていますが、原因は未だに完全には解明されていません。
ただし、遺伝的要因や環境要因(ストレス)が関係して免疫に異常が出ると考えられています。
例えば、仕事などの精神的・肉体的ストレスや事故などです。他にも以下のようなことがきっかけになると言われています。
- 細菌やウイルスの感染
- 過労やストレス
- 喫煙
- 出産やけが
- 関節の使いすぎ
- 外傷
- 疲労
ちょっと意外に思った方もいると思いますが、日常的なちょっとしたことがきっかけでなってしまうのがリウマチです。
リウマチの初期症状
リウマチの初期症状は、主に以下のようなものです。
- 関節の腫れ・痛み・こわばりがある
- 朝、両手のこわばりを感じる(特に指先から2番目と3番目の列の関節)
- 常時ズキズキとうずくような痛み
- 微熱が続く
- 倦怠感や身体が重い感じがする
- 食欲不振・体重減少
微熱が続いたり倦怠感や食欲不振などがあるため、はじめは風邪かな?と勘違いしてしまいがちですが、徐々に症状が重くなるため、おかしいと思ったら早めに病院にいきましょう。
リウマチは人によって痛みや腫れが出る部分が異なります。
よくあるのは両手のこわばりや手首の痛みなどですが、私のように膝や肩など大きな関節が痛むケースもあるので、複数の症状がみられたら医師に相談してみるのがおすすめです。
リウマチの進行パターンは3種類
リウマチの進行パターンは、以下の3種類に分けられます。
緩徐発症型 |
全体の約70%の症例がこの群に属する。 |
急性発症型 |
全体の約10% 。 何らかの誘因(外傷、ストレス)などを契機にすることが多く、関節症状も激しい。 |
中間型 |
全体の約20%。 数週前後の間にRAの病像が形成される。 |
ひとくちにリウマチと言っても、パターンによって進行具合が異なるので、人によって症状が出るタイミングや治療方法も様々です。
リウマチの治療
リウマチの治療には、炎症を抑える薬物療法や、理学療法、生活習慣の改善などが含まれます。
【薬物療法】
リウマチと診断されると、まずは薬物療法(飲み薬)が行われます。
昔は肝機能障害や胃腸障害、蕁麻疹や口内炎などの副作用が出る薬が使われていましたが、現在では副作用が少なく妊婦さんでも使えるメトトレキサートという薬(内服薬)がメインです。
引用:公益社団法人 日本リウマチ財団/関節リウマチの薬物治療の基本方針(2023年)
経過を見ながら6ヶ月経っても好転しない場合は、次の治療に進みます。
第2フェーズでは、メトトレキサートにプラスして、生物学的製剤(注射)やJAK阻害薬(内服薬)の投与が行われます。
(注射は隔週などで継続して行うことが多いので、在宅注射を選択する人が多いです)
その後効果が現れないようであれば、第3フェーズとして生物学的製剤やJAK阻害薬の見直し(薬を変える)をします。
リウマチは人によって進行の仕方が異なりますが、おおむね発症から1年以内に症状がもっとも進むとされているため、早めの診察がその後の経過の良し悪しに大きく影響するのです。
【理学療法】
理学療法は、運動療法と物理療法を組み合わせて行います。
運動療法:筋肉アップのトレーニング
物理療法:温熱療法や光線療法など
理学療法の時期は主治医と相談して決められます。
「今日は調子がいいから」と自己判断で運動を始めたりすると、炎症がひどくなる可能性があり危険です。
【生活習慣の改善】
生活習慣で気をつけるべきことは、以下のような事柄です。
- 痛みが辛い時は安静にする
- バランスの良い食生活を心がける
- 十分な睡眠をとる
- 重いものを持たない
- ストレスを溜めないようにする
- 身体を冷やしすぎないようにする
- 湿度の高い場所を避ける
- 適度な休憩をとる
- 禁煙する
特に急性期は股関節や膝に負担がかかり、1時間キッチンに立つのも辛いことがあります。
カット野菜やレトルトを使う、時間が許すのであれば小刻みに休憩しながら行うなど、工夫して乗り切りましょう。
ちなみに肉を消化できない体質の私は、タンパク質をより多く摂るために毎朝プロテインを飲み始めました。
栄養が取りづらい体質の場合は、サプリメントなどを使うのもおすすめです(飲み合わせがあるので、必ずお医者さんと相談してくださいね)。
リウマチと関連のある病気
リウマチと関連のある病気は以下のものです。
- シェーグレン症候群
- ドライマウス
- 眼の症状(ドライアイや強膜炎など)
- アレルギー全般
- 肺・心臓の病気(肺炎、間質性肺炎や心外膜炎など)
- 貧血
- 骨粗しょう症
- 胃腸の不調
- 貧血
- 首の骨の脱臼(環軸椎亜脱臼)
- 腎障害
- 顎骨壊死
- 肝障害
免疫機能は体全体に関係しているので、リウマチは多くの合併症を生みやすくなります。
特に風邪をこじらせて肺炎になると、リウマチも悪化してしまうので注意が必要です。
また、免疫機能が弱っているため、ウィルス感染にもかかりやすくなるといわれています。
どうしても人の多い場所に行くときには、マスクの着用や外出後の手洗いを忘れずに行いましょう。
私のリウマチ体験談
【きっかけと初期症状】
私は在宅で約10年仕事をしていますが、2023年11月は、あるクライアントさんの仕事が自分の性に合わなかったためストレスが大きく、できればその案件は辞めたいとまで思い詰めていました。
その時の状態はというと、日中は微熱が続き、だるさや足の付け根の痛みが激しくて、1時間デスクワークをしては2時間横になるというような状態でした。
でもこれはきっと、メンタル的なことから来ているのだろうと思っていました。
長時間(といっても2時間程度)頑張ってパソコンを打つと、手指がこわばって思うように曲がらないこともしばしばありました。
これも、昔手根管症候群の手術をしたせいかな、位に思っていました。
でも、次第に朝は体が痛くて起き上がれまなくなり、どうにかこうにか起きると、生まれたての子羊状態で足がガクガクブルブル(笑っちゃうけど本当です)。
夜は夜で肩の関節が痛くて布団に横になるのが辛く、毎日鎮痛剤を飲んでから寝ていました(これも50肩だと思っていたのです!)。
そんな状態に加えて肩や背中のコリもひどくかったので、少しでも体の不調をやわらげようと駅前の整体に通い始め、その日も整体に自転車で向かう途中でした。
大通りに出たときに、出会い頭に横から来た自転車とぶつかってしまい、転倒してメガネの縁が顔に食い込み出血。
結局、眉毛の横を6針縫いましたが、その後日にちが経って落ち着くと、膝がどうもおかしいことに気づいたのです。
膝がブヨブヨで水が溜まっている状態だったので、近所の整骨院で水を抜いてもらいましたが、3〜4日経つとまた元のブヨブヨした状態に…。
膝の水は2回抜いてもらったけど、数日後にはすぐに戻ってしまう。
これはなんかおかしいぞ、と思って自分で色々調べた結果、もしかしたらリウマチかも…と思ったのです。
市内にあるリウマチ専門クリニックにはじめて行ったのが、12月も終わりの頃でした。
【治療】
最初は飲み薬のみの治療でした。メトトレキサートという錠剤です。
薬を飲みながら2週に1回通院し、こまめに状態をチェックしてもらいます。
以前からアレルギーによる喘息症状もあったので、今まで通っていた病院からクリニックに移り、一緒に処方してもらうことにしました(肺炎の合併症を防ぐためです)。
月に1回採血をし、炎症の値を見ながらの治療が続きましたが、6ヶ月たった頃、ちょうど梅雨の時期ということもあって、炎症値が悪化。
暴風雨で倒れた庭の重たい植木鉢を直したり、自転車で通院中にゲリラ豪雨に遭ってびしょ濡れになったりしたのがいけなかったんでしょうね。
運悪く、びしょ濡れになった日が採血の日でした。
最悪の状態で採血した結果、MMP-3というリウマチの値が正常値の10倍以上にもなってしまったため、在宅自己注射の治療もスタートすることになりました。
注射は3種類提案されましたが、一番よく効く注射は1本3万円と高価なものだったので、安いけどあまり効果がない注射との間をとった、真ん中の注射にしてもらいました。
これがよく効いたのか、注射治療を開始して2ヶ月目には炎症値がゼロに!MMP-3も正常にかなり近づきました。
現在2024年9月も治療は続行中ですが、痛み止めからは卒業しました。
遠出はできる限り控え、自転車で坂道を登る時は自転車を降りて歩くなど、膝に負担をかけないようにしています。
仕事はまだ通常の半分程度に減らしたままですが、なるべくストレスの少ない仕事やパソコンを打たなくていい仕事に移行すべく活動中です。
リウマチ治療が安くなる助成金や制度
リウマチは月1回の採血検査や各種処方に加えて治療が長期戦になるなど、なにかとお金がかかりますが、国では高額医療を軽減してくれる制度があります。
リウマチにかかると仕事も制限しなければならない人も多いと思うので、こういった制度を賢く利用して、少しでも治療費の負担を軽くしましょう。
高額療養費制度
1ヶ月の医療費が上限額を超えたとき、その超えた費用を国が支給してくれるという制度です。
詳しくは厚生労働省のサイトのほか、全国健康保険協会に分かりやすい説明があるので、参考にしてみてください。
厚生労働省:高額療養費制度について
全国健康保険協会(協会けんぽ):高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)
まとめ
リウマチは誰もがかかる可能性のある免疫疾患です。
関節のこわばりを感じたら、早めに病院にかかってください。
早期治療ができれば、進行を遅らせて、骨が変形する前に寛解することも可能です。
無理をしたまま生活をして受診を遅らせると、その後の人生に大きく悪影響を及ぼします。
自分自身だけでなく、ご家族や身近な人が初期症状を訴えていたら、ぜひ教えてあげてください。